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その様子を研修棟3階A教室から眺めていた二人組。
「趣味悪い毎回毎回、よく飽きないねぇ」
そう言いながら窓際の机に肘をつく楠サクヤ、容姿端麗でスタイルも良いが冷ややかな雰囲気をまとっているため近づき難い女性である。
「うーん助けようとか思わないの?」
困ったような表情でそう言うのは藤シュウスケ、物腰柔らかで親しみやすい性格でほぼサクヤと一緒にいるが付き合っているわけではない、むしろサクヤには避けられている……。
「全く思わないけど?」
シュウスケはその言葉にため息を漏らし再び意識不明になった男に目を向ける、未だに動かないままで余りにも痛々しいその姿は目を背けたくなるようなものだ。
弱肉強食。
それがこの学校の暗黙の了解である、変にガラの悪いやつに関わるとすぐに喧嘩、ひどい時は武器を使った殺し合い寸前まで発展してしまうのだ。
そして今回は運が悪く後者のようで、訓練という名目の元、気に入らない人間を淘汰しようとする者がここには少なからず存在する。
どうせ些細な理由であんなことになっているのだろうと思いながら、ただ無意味に外に目を向けていた。
シュウスケは基本的には優しい、正義感も強く困っている人を見たりするとすぐに助けに行く。
しかしそれは知り合いであればの話なのだ。
それ以外の人間には非常に淡白であり、戦い、争いになってくると関わるのを極力避けようとする。
シュウスケの中ではすでに優先順位が決まっていて、そこに該当さえしないものに関しては興味さえ抱かないのだ。
「ほんとに両極端だよね、いつもなら飛び降りてでも駆けつけそうなのに」
意地悪い笑みをうかべながら、からかうように言ってきた彼女に向き直ると、なぜか気まずそうな笑顔をむけて小さく一言漏らす。
なんでかなぁ。
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