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「で、何が良いと思う?」
繰り返される質問に、一応唯も「ふむ」と考える。
「何か欲しいものはないの?」
逆に聞かれて今度はヒナが「うーん」と唸った。けど、
「聞いたことない」
なんて答えに唯は「はぁ……」とうなだれた。
「あのね、一緒に暮らしてるヒナにわからないことをあたしが分かるはずないでしょ?」
「そっ、そうかもだけど! あっ、この間は『タバコが無い』って不機嫌だった!!」
「……なら、タバコでもプレゼントしたら?」
白けるような唯の視線にヒナは「唯ぃ~」と彼女の腕にしがみつく。
そのヒナが唯の腕を掴んだまま、「あ」と小さく声を上げた。
「何?」
「ライター」
「……持ってないの?」
「ううん、持ってるけどいつもどっかで無くしてコンビニでタバコと一緒に買ってる」
なんて言うから唯は頭を抱える。
「それじゃ、プレゼントしても無くしちゃうじゃない。そんなの」
「いいの! それでも」
「……?」
「だって、またプレゼント出来るでしょ?」
そう言って笑うから唯もつられて苦笑い。
「だからってコンビニのライターがプレゼントじゃないわよね?」
「なわけないじゃん!」
「なら、見に行きますか?」
「行く――!!」
こうして午後の授業はサボることになった。
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