Rumor

16/52
10122人が本棚に入れています
本棚に追加
/451ページ
ふたりしてブラブラと街中へ。 「ってかライターってコンビニ以外、どこで売ってるのかな?」 「そうねぇ、ジッポーとかならシルバーのお店にあるとか?」 「あ、なるほど!」 そんな話をしながらお店を物色していく。 「きゃあ! 可愛い!!」 そう叫んでヒナが手にしたのは天使の彫刻か施されたシルバーのジッポー。 「……で、誰か使うんだっけ?」 「あ」 呆れるように唯に言われて、それはそっと棚に戻す。 他にもいろんな雑貨屋さんやそれらしいお店を巡って、 「あ、これ……」 「あ? そう、ね」 ふたりの目に止まったのは、クロスの彫刻が施され真ん中に小さな琥珀が置かれたジッポー。 「いい、よね?」 確認するヒナの声に、 「いいけど……」 なんて言われるからヒナは首を傾げた。すると、唯は少し難しい顔をして、 「お金、大丈夫?」 そのジッポーに付けられた値札をひっくり返す。見えた値段は、 「……2万8千円?」 28,000円。 「あ、それ? いいでしょ?」 そう声をかけてきたのは耳から鼻からピアスだらけで破れたビンテージキャップを被った店員。 「安くしてあげたいけど、その石ホンモンだからさ。しかも限定だったりするし、ちょっーと無理かなぁ」 そんな軽い口調にヒナは小さくため息を吐く。 びっくりするほど高い訳じゃない。いつもなら買えたかもしれない。だけど、今月は……。 「……先週のワンピ、買わなきゃよかった」 なんてヒナの告白に唯も事情を察して「そうねぇ」呟いて、 「気ぃ変わったらまた来てね~!」 軽い店員の声を聞きながら二人は店を後にした。
/451ページ

最初のコメントを投稿しよう!