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「で、諦める?」
そんな唯の声にヒナはフルフルと首を振る。
「あれがいい」
「なら、貸してあげよっか?」
「え?」
「お金、ないんでしょ? そこのATMに寄ってくれたら」
「いい」
「え?」
「唯の気持ちはうれしいけど、いい。だって、それじゃなんかダメな気がするもん」
そう言って珍しく難しい顔を見せるから思わず唯はふっと笑った。
「な、なんで笑うの!?」
「ヒナらしいなってことよ」
「……それって誉めてる?」
「勿論」
そう言われてもヒナの顔は複雑なまま。
けれど気にすることなく唯は「行くわよ」と歩き出す。
「え? 行くってどこに?」
「本屋さん。お金、いるんでしょ?」
「それは、そうだけど……」
それと本屋とどうつながるのか。分からずヒナが首を傾げると唯は振り返る。そして、
「短期のバイトなら間に合うかもよ?」
「あ、あ――!!」
そんな唯の提案にヒナは納得の声をあげた。
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