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~終~
短い夏を蝉たちが鳴き叫ぶように、二人は毎日会っては一緒に過ごした。
川に行ってはずぶぬれになり、山に行っては泥だらけになった。
家に帰る頃にはまなの顔から笑顔が薄れていく。
「帰ろ」
そう言って、まなの手を引く。
足取りは重く、わざと遠回りをして帰った。
家の前で「じゃあな」と言って別れる。
まなは「うん」と言うだけで、下を向く。
大輝は振り返らないように早歩きでその場を後にする。
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