~夏の泡沫~(番外編)

28/36
前へ
/451ページ
次へ
~終~ 短い夏を蝉たちが鳴き叫ぶように、二人は毎日会っては一緒に過ごした。 川に行ってはずぶぬれになり、山に行っては泥だらけになった。 家に帰る頃にはまなの顔から笑顔が薄れていく。 「帰ろ」 そう言って、まなの手を引く。 足取りは重く、わざと遠回りをして帰った。 家の前で「じゃあな」と言って別れる。 まなは「うん」と言うだけで、下を向く。 大輝は振り返らないように早歩きでその場を後にする。
/451ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10130人が本棚に入れています
本棚に追加