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夏休み最後の日。
昼のバスには乗らないと家に帰れない。
帰りたい訳じゃない。
でも、帰らないといけない。
まながいつものように息を切らせて駆け込んでくる。
「大君、遊ぼ」
その声に涙が出そうになる。
「今日はムリ」
「なんで?」
まなは首を傾げる。
「今日、帰るから」
途端にまなの目に涙があふれ出す。
「泣くなよ、鬱陶しい」
そう言っても、彼女は泣きやまない。
「泣くなって……」
こっちまで泣きたくなる。
「バス停まで一緒に行こうか」
曾祖母の声にまなは仕方なく頷いた。
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