~夏の泡沫~(番外編)

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~憧~ 駅には春香が莉緒連れて迎えに来ていた。 泣きはらした目を見て理由を訊ねたが大輝は「なんでもない」としか答えず、春香もそれ以上何も聞かなかった。 次の日から学校が始まった。 夏休み以上のものはここにはない。 「冬休みになったら、絶対会いに行こう」 そう思っていたが、雪深い村のため父親が許さなかった。 「帰れなくなったらどうする」 その方がどんなにうれしいか。 春休みは短く、行くことは叶わなかった 大輝は夏に焦がれた。 家は相変わらず莉緒中心。 ハイハイを始めた莉緒はそれなりに可愛かった。 けれど疎外感は拭いようもなく、大輝は休みの日には外へ居場所を求め遊びに行った。
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