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俺にも1人息子がいる。俺の帰りを待っている家族がいる。コリンだって同じだ。俺はコリンと違い正義感はきっとないだろう。自分の家族や友人が無事ならいい。そのためなら政府の言う事なら何でも聞く。これを聞いたらきっとコリンは怒るだろう。説教もされる。でも、俺を叱ってくれるやつはもういない。世界は残酷だ。
「あれ?トニーさんだ!もう、仕事は終わったの?」
その時、ちょうどコリンの子供のエリックがいた。なんだかしょんぼりしていた。
「ああ、まあな」
素っ気ない態度をしてしまった。するとエリックは目を輝かせた。
「じゃあ、僕のお父さんも終わったの?」
「あ、えと、実はさっき...コリンは...君の父さんは死んだんだ」
時間が止まった感じがした。
「え?嘘でしょ?」
エリックは視点が定まっていない次第に涙を流していた。
「なんで...お父さんもモナもいなくなっちゃうの?突然いなくなっちゃうなんて」
「え?モナも?」
モナはコリンのもう一人の子供で俺の息子と同じ年だ。
「政府がモナを連れてったんだ。お母さんと僕は怖くて動けなかった。妹を守れないなんて僕はお父さんみたいになれない」
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