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お前の笑顔が見たい。
そんな台詞を臆面もなく言い切った少年に、レイリューンは薄い水色の瞳を曇らせた。
食事は朝昼夜、すべて彼が運んでくる。
うるせえな、俺が面倒みるったら見るんだ! 扉の外から聞こえたことも、一度や二度ではない。
何なんだ、と正直なところ、思う。
いくらアルス一族出身だとはいえ、幼くしてイザエラ族に連行されて生き延びてきただけの自分に、何の価値がある。
大変な思いをしたな、と長から言葉を頂き、じゃあ俺が世話するんで! と言った少年。
名を、フェシルミア・アルスと言った。
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