笑顔を見せて

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3 「どんな恋愛本?」  やめー、とレイリューンが叫んでいる。 「異世界の職場恋愛みたいな話だったか。だらしない男と…しっかり者の女で。差し入れに貰った本だったな」 「えっ、読みたーい!」  探せばどこかにある、とアルスが付け加えた。 「こいつは部屋に閉じこもっていたから本を読んでいて。退屈だったんだろうな、私は。レインはベッドの上にいたから、近づいてやろうとそばに座って」  ホント勘弁して下さいー、と喚いている。 「しばらくしたら読み終わって、私の背中に背中をあずけて、眠ってしまったんだ」  うわー…、と奇声をあげている。 「首が傾くから危ないと思って、そのままどうにか横にしたら目があって。急だったから咄嗟にキスをして。…いや、こめかみに。いつもフェンにしていたから癖が出て」 「…お兄さんだねー」 「それで、レインも安心したように寝てしまったんだ」 「嫌だと思わなかったんです! あなた子供でしたし」
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