始章 8月3日

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僕とカズキは家も近く、小学校からの長い付き合いだ。向こうがどう思ってるかなんて考えたことないけど、僕はあいつが大切で、腹を割って話せる数少ない友人の一人だ。 僕たちは小学、中学と九年間野球部に属し、共にプレーしてきた。高校二年になった今、どちらからともなく時々キャッチボールをしている。 今日もそんな気分…というか、これから起こることを考えると、カズキとのキャッチボールが必要だと思えたのだ。 「おっけー!また後でな!」 「おう、菓子でも用意しとけよ!」 「うっせーよ!」 笑い合いながら、講義室から出るカズキを見送り、僕は携帯を取り出した。
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