始章 8月3日

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僕は今回ほど、自分を理解できなかったことは無いかもしれない。 中学の頃まで、恋愛というものに周りの友人たちほど興味はなく、当然告白も受けたことこそあれ、したこと、したいと思ったことなど一度もなかったからだ。 最初はほんの少し…違和感というのだろうか。自分でもよく分からないうちに、笑顔が似合い、落ち着いた雰囲気の彼女が気になっていた。 授業中、休み時間。 よくボーっとしている、と言われる僕は、知らず知らず彼女を見ている… そんな現状に気がつく度に、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。 後になって聞いた話によると、カズキは、はっとした表情をした僕が赤面して身悶えしているのを横目に、内心大笑いしていたらしい。 このやろう…
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