始章 8月3日

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綺麗だ………… 自分の口から自然と発せられた言葉をきちんと認識できないまま、僕は彼女の後ろ姿に目を奪われていた。 「あ、タカシくん!来てたんだ!」 数秒?数分? どれほどの時間が経っただろう。 入口で固まっていた僕が発した言葉に振り向いた彼女は、僕の大好きな笑顔を惜しげもなく見せてくれる。 「やっぱさ、タカシくんも綺麗だと思うよねえ。私ね、ここからの眺めが大好きなんだあ!」 どうやら、屋上からの眺めを見て言ったのだと勘違いしたみたいで、フフフ、と彼女は笑っている。 「あ、うん。そうだね。ここは僕もお気に入りの場所で、よく来るんだ。」 いつでも自然体で、ほのぼのとしている彼女に対して、僕は好意とともに尊敬の念を抱いているのかもしれない。
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