70人が本棚に入れています
本棚に追加
「名前はなに?」
「名前か...」
少年は少しだけ口角を上げた。
ほんの一瞬。
「捨てたさ、名前など...」
「なっ!?」
私は絶句した。
名前を捨てる...
それは自分が自分であるという証拠を捨てたようなものだ。
この少年は自分という存在を捨てたことになる。
「もういいだろう...この先言葉はいらない
お前の実力見せてもらうぞ」
少年はひとつの弓を構えてそう言った。
その弓はどこか神々しくしかし、禍々しさもあった。
私はその弓に見とれていた。いや、少年に魅了されていた。
「もういいか?」
「え、えぇ!」
その一言で私は意識を手放しそうになった、なんとかこらえたがいまは、立っているだけでも辛い。
「魔矢生成...属性指定【風】」
そう呟くと少年の手には淡い緑の光を放つ矢が握られていた。
ここで私の直感が告げた。
あの攻撃を受けてはいけない
しかし、もう遅かった。
「シュート!!」
少年から矢が放たれた...
地面を抉りながら私に近づいてきた...
私は死を覚悟した...
「ふん、興が醒めた...」
しかし少年の攻撃は私に当たることなく横にそれた
私は何故と思ったが
少年の魔力に当てられ意識を手放した。
最初のコメントを投稿しよう!