第1章 甦る過去

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淡々と無駄に毎日を過ごしていた。 朝、目覚めるとまた新しい1日が始まる。 けれどそれは何も変わらない、いつもの日々。 なんの変哲も無い日常。 それはとても憂鬱なもので。 疑問しか抱くことはできなかった。 どうして人はこうも目的のない毎日を過ごす必要があるのか。 きっと、そんなことを思うこの心は充実していないからなのだろう。 大学で授業を受け、数え切れない人とすれ違う。 その中で僕は一人だ。 そこで話しかけられることは多々ある。 しかし、そこでは機械的に当たり障りのない形で受け応えするだけであって、その先へは決して踏み込むことはない。 昔から僕には人を遠ざけてしまう癖があった。 表面には出せないせいで精神的に参ることも多い。 表情では笑って、相手に不快な印象を与えないことばかり気にしている。 友達と呼べるのはあの二人。 いや、もうそんな存在でもないか。 ここに引っ越してきてからは会っていない。 今頃、二人は…… 午後の授業が終わると、僕は近くの喫茶店でコーヒーを飲む。 その日その日でここを訪れる時間は違うが昼時を抜けた、穏やかな店内。 ちらほらと他に客はいるが、この程度なら気にはならない。 一日の時間の中で、この時間が一番好きだ。 誰にも邪魔されない時間というのは、歳を重ねていく度に減ってきた。 それでも唯一、こういった時間は大切にして今までと同じように守り抜いてきた。 会計を済まし、また慌ただしい大通りへと出た。 そこにある街の大スクリーンでは、僕がテレビのインタビューを受けた時の映像が流れている。 コンビニに置いてある雑誌には、無名の新人、人気急浮上なんて見出しで書かれていた。 僕が求めているのは、そんな名声なんかじゃない。 ただ、誰かに必要とされ、生きていたいという実感を得たい。 本当にそれだけなんだ。
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