第1章 甦る過去

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全てがもどかしい。 何かに追われているわけではないのに何故か気持ちは焦っている。 見つけなければ取り返しのつかないことになりそうな、そんな根拠もないことに煽られている。 何を探しているのかもわからないのに何かを常に探している。 そんな感覚を常に持ち、生きている。 “普通の幸せ” そもそも、普通とはなんなのか。 単に幸せと言ってもそれはどのようなものなのか。 傍に居るだけで幸せ、なんて言うのは安心感からくる単なる思い込みであると思う。 本当にこの性格は自分で言うのも変だが面倒だ。 知らないことは納得がいくまで答えを求め、知らないままではいられない。 形の無いものをどれだけ考えたところで何かがわかるはずもない。 具体的な答えなど見つかるはずがない。 それなのに気付けば考えてしまっている自分がいる。 追い求めれば追い求める程に答えが遠ざかっているような気がしてならない。 何をしても埋まらない。 何をしても満たされない。 これ以上に時間を無駄にしていることなどありはしないだろう。 退屈とは人間にとって一番の強敵だ。 様々なものが発明され、なお開発を進めているのは生活を豊かにすることよりも退屈を妨げるためでもあるのだろう。 次から次へと、飽きもしない程に。 それでもつまらない毎日は当たり前のように訪れる。 退屈な日々を過ごし、同じようなことを繰り返す毎日に生きている意味などあるのだろうか。
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