第三章 静かすぎる日常

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 現在僕は、高校生活二日目を体験するべく学校に向かって歩いている最中だ。  その途中で昨日経験したラリアットクエスト3内で起きた事を、トキアに聞かれ、仕方なく話していた。  ダイブネットがログアウトする時、父さん達やレイラの異常な落ち込みっぷりをどうやら遠目で見ていたらしく、何があったのか聞いてきた訳だ。  トキアは異常なくらい父さんの失敗談が大好きだ。  何故そんなに好きなのかは僕にもいまいちわかっていない。  多分だけど普段失敗を知らないような人だから、完璧主義者が失敗する様を見るのを普通に楽しんでるだけだとは思う。  良い性格してるよ本当。 『とにかく……もういいだろ? そろそろ黙ってくれ。学校に着く』  僕が脳内でそう告げると、トキアは返事するまでもなく、急に静かになった。  返事するのもめんどくさいのだろう、相変わらず不愛想な奴だ。 「おいおいおい! 見てみろよ! 早速あのアイドルにアタック仕掛けてる奴がいるってよ」 「マジか!? こんな朝っぱらから!? さすがっていうか……つーか告白しかけてんのって誰だよ?」 「あの三年の生徒会長だとよ! 校門前でずっと待っててばったり会うや否やどうどうと! さすがだよなぁ……! 見に行こうぜ!」  学校に近付くと、そんな噂話をしながら、何やら他の生徒達が慌ただしく校門のゲートをくぐっていく姿が見えた。  何やら早速学校で面白そうな事が起きているらしい。  ……それにしても、まだ登校していない生徒にまで校内の情報が出回ってるなんて、さすが高校生というべきか。 「でもよ、生徒会長って今まで何人もの女を振って来たんだろ? バレンタインとか凄かったじゃねえか、箱に山積みでよ。どうしてまた入学したばかりの一年生に朝から? しかもあの生徒会長からだぜ?」 「そりゃ決まってるだろ! あんな優良株、普通いねぇからな! 付き合うってだけでも世界的に有名になれるぞ?」  ああ……他の男子生徒の噂話だけで、もうなんとなく誰がどうなってるのかわかった気がする。
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