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「そうだね……久しぶりだね」
「あれ? アッキー返事に元気ないよ~? いつもはもっと元気なのに」
いつもとか勘違いされるような発言は本当に止めていただきたい。
背後にいるクラスメイトの男子達が、「いつも!?」と喚いているからさ。
「ちょ、ちょっと待ってよレイラちゃん!? こ、こいつとどういう関係なの? 中学校と小学校とか一緒じゃないよね……?」
「えっと…………アッキーはね」
そこでレイラは一瞬言葉を止め、何かを考えているかのような仕草を見せる。
あの動作が考えている振りをわざとしているのだと僕は思いたい。
「あ! アッキーは私が小学校の頃に通ってた塾でたまたま知り合ったお友達だよ! それ以外の何でもないよ! 本当だよ!」
そしてレイラは、思い出したかのようにそう言った。
「あ!」っじゃないよ。何だよその今思い付いたと言わんばかりの喋り方。そして何だその狙ったかのようなわざとらしい喋り方は。
疑ってくださいと言っているような物だ。
「ほ……本当に? 小学校で知り合った塾の友達との関係ってこんな続くもんなのか?」
「いや……多分続かねえと思うけど、レイラちゃんアイドルやってるし……尚更。……そういう設定とか?」
クラスメイトの男子が疑り深くそう言って、僕は一瞬だけ肝を冷やした。
そう……そういう設定なのだ。
レイラが僕の事を知っているように、僕もレイラの事を勿論知っている。
この学校に入学するという事も、事前に聞いて知っていた。
「ていうかレイラちゃん……アイドル活動は? 学校に来てても大丈夫なのかよ?」
「うん。私も高校生活を楽しみたいからね。ずっとじゃないけど入学から一週間は通えるようマネージャーに話はつけてあるから」
「マジかよ! うっひょぉー! これマジ絶対自慢できるって! レイラちゃん写真撮っていい!?」
「うーんとね……駄目ぇ~!」
「かぁー! いいねぇぇ! 断り方も優雅だねぇえ!」
もしも中学校の頃、目立たず運動も出来なかった奴が、世界を救った英雄の娘でもあり、超人気アイドルでもあるレイラと知り合いって事になったら……僕の生活が大きく狂う。
だから事前に学校では話し掛けるなと携帯電話で連絡も入れていたし、万が一ばれてもその設定を通すようにと話を通していた。
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