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あえて言うなら、レイラに好意を寄せてる人物とか、レイラのファンクラブの人達から敵意を抱かれるくらいだろう。
……まあ確かに僕のために言ってるってのは当たってるな。
「それを言うならさ……君はどうなるの? この学校に通ってるって事は君も僕と同じで普通の家庭なんじゃないの?」
「一緒にしないでいただけるかしら? この学校には英雄が通っていた学校として、身分関係なく通いたいと考えてる方々が多くいらっしゃるのよ。ましてや今年はレイラさんが入学される年、競争率は激しかったわ」
だからか……この学校の入学試験の時、なんかお嬢様とかお坊ちゃんみたいなのがいっぱいいたの。
でもさすが理事長だ。公平に成績の良しあしだけで入学させたからか、僕のような普通の人もかなり多い。
少なくとも、僕のクラスに上流階級の人らしき人はいなかったはずだ。
「ん? あれ。じゃあ君はその上流階級とやらの家庭な訳?」
「そうよ……藤崎コンツェルンの跡取り。『藤崎 ユキ』よ。だから私とレイラさんが接していても、お友達でも何も不思議ではないの」
「へぇ~……そうなんだ」
この子……クラスメイトに敵が多そうだな。くじけずに頑張ってほしいものだ。
「だからあなたのような下賎の者は、気安くレイラさんに話し掛けないでいただけるかしら?」
「うん、わかったよ。それじゃあね藤崎さん」
藤崎さんのその言葉に僕はすぐさまそう答え返し、僕は玄関から学校を出ようとする。
「ちょ、ちょっとお待ちなさい! え? ほ、本当に意味がわかっていますの!?」
「ん……いや、うん。だから話掛けなければいいんだろ? 了解だよ。僕はこの学校で二度と話し掛けない」
というより、元々その予定だったのだが、それをそこにいるレイラが台無しにした訳だ。
今ここで話し掛けない事を誓おうが誓わないが関係ない、当初の予定通り事が進むだけだ。
「……どうやら中々に話のわかる御仁だったようね。一悶着あるかと思いましたが……手間が省けましたわ」
「元々僕みたいなのが話し掛けていいなんて思ってないよ。それじゃあね」
「聡明ですわね。御機嫌よう」
そしてようやく話が終わり、僕はすたこらさっさと急いで帰路につこうとする。
だがしかし、
「アッキー帰るの? 一緒にかえろー!」
一体今まで何を聞いていたのか、そう言ってレイラは普通に僕を追いかけて来た。
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