第一章 ダブルフェイス

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「ちょ、ちょっとレイラさん! 今の話聞いていらっしゃいましたの? そのような方と帰らず私と帰りましょう」 「うん! 今度一緒に帰ろうね!」 「今日ですわ! 私の送迎をしているリムジンがもうすぐ到着するはずですの。それに乗って……」 「アッキー待ってよー!」 「レイラさん!」  これは酷い。話を聞いていないのか、只の天然なのか……さすがレイラ。昔からマイペースなのは変わらないようだ。 「レイラ……さっきの藤崎さんとの話聞いてた?」 「え? 何だか長くなりそうだったから携帯いじってたけど……あ、聞いて聞いてアッキー。お母さん今日ね、入学祝いに豪華なハンバーグ作ってくれるんだって!」 「子供か! 藤崎さんは友達なんだろ? ちゃんと話を聞いてないと駄目だろ!」  僕は保護者か……一々疲れる。  でも今日ハンバーグなんだ。ちょっと羨ましいな。 「ごめんごめん。何の話をしてたの?」 「僕とレイラが一切話さないようにするっていう取り決めだよ」 「あはは、それ無理だよー! だってさっきも我慢できずにアッキーとのメールでの約束破っちゃったし」  こいつ……約束覚えててあえて破ったのかよ。 「だぁぁああああ! もう! 僕は一人で帰るから!」 「あ、アッキー待ってよ! アッキーと久しぶりに喋りたい事いっぱいあるのに~」 「れ、レイラさん! どこに行かれるのですか!」  話にきりがつかないため、僕は逃げるようにその場から疾走し、校門を出て外へと出た。  追いつかれないように簡単な身体能力強化の魔法を使ったので、レイラを容易く振り切る事が出来た。 「……こ、ここまでくればもう大丈夫だろう」 「アッキー大丈夫? 汗出てるけど……お水飲む? 私が飲んだ後のだけど」 「……っつ!?」  校門から出て、近くにある街に入る付近まで走って振り切ったはずなのに、まるで当たり前かのようにレイラがそう言って話掛けて来た。 「な、なんでレイラがここに!? 振り切ったはずだろ?」 「ふふ……残念でした! パパ直伝の瞬動術からは逃げられないのだー!」 「しゅ……瞬動術って……いつ覚えたんだよ」 「え? 入学する前にだよ。これから色々危険があるかも知れないからってパパが。気……とか言うのも一緒に教えてもらったけど覚えるのは簡単だったよー」  TISUZIワロタ。
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