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「殺すですって? 出来るものならやってみなさい。無理でしょうけどね!」
ユキちゃんがそう言い放つと同時に、一人のボディーガードがフレイムスピアを放ち、もう一人のボディーガードが魔法で身体を強化し、一瞬でタトゥーギャング達との距離を縮めた。
速い。動きもそうだが、その行動に至るまでの判断力も速い。
確かゼクセルおじさんが活躍した戦争に参加していた人だっけ? なるほど……くぐった修羅場が違うという訳だ。
これはもう、勝負は決まったようなものだろう。
「そ……そんな! 一体どうしましたの!? 手を抜かずにしっかりとやりなさい!」
っと、思っていた時期が僕にもありました。
飛び込んだボディガードの拳とフレイムスピアがタトゥーギャングの一人に命中しようとしたその瞬間、飛び込んだボディガードの一人は吹き飛ばされ、地面へと屈服していた。
「はーい……残念でしたぁ! けひゃ! お前ら馬鹿だろ?」
「あなた達……一体何をしましたの?」
今のは僕にも理解不能だった。
今の攻撃は間違いなく当たっていたはずなのに、今地面に屈服しているのはボディーガードの人達だ。
思えば、さっき放たれたフレイムスピア……当たる前に消えていたような。
「ま、まぐれですわ! 早く起き上がってくださいませ! あなた方の力を今度こそ見せつけるのです!」
「……お嬢様、逃げてください。我々は判断を誤りました」
「な、何を言っているの? こんな社会のゴミ……あなた方なら何の障害にもならないはず……」
ユキちゃんがそう言うと、タトゥーギャングの連中は盛大に馬鹿笑いし始めた。
遠目からでも、ボディーガードの二人が焦っているのがわかる。
「マジで馬鹿だろこのお嬢様! その社会のゴミがこんなわかりやすい場所の廃棄ビルを拠点にしていて、何でいつまでも放置されてると思ってんだ?」
「ど……どういう事です?」
「強いんだよ……俺達は、そんじょそこらの奴等じゃ対処できない程にな」
「ありえませんわ! この方達はかの戦争を生き抜いた精鋭中の精鋭……」
「だからぁ……関係ねえんだって。そろそろ気付けよお前、今……魔法が使えないこの状況をよ」
そう言われて僕も試しに身体能力強化の魔法を試してみるが……何故か発動しない。
「スキル……さすがに知ってるよな? お嬢様よぉ……」
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