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スキル……ゼクセル=ミフィールと並ぶ伝説の英雄、岡崎茂が発見した人間の潜在能力を魔力で引き出した力の名称だ。
スキルの力は同じ人間がいないように……同じスキルを持つ者は少ない。
どうして人によって違った力が発動するかは未だに解明されておらず……今の世の中じゃ誰もが知っている常識的な力だ。
だが……使える人間はほぼいないに等しい。学校に一人いるかいないかくらいだ。
というのも、スキルの開化条件というのが解明されていないからなのだが……それもこれも伝説の英雄、岡崎茂がスキルの存在を発表した後行方不明になったせいでもある。
スキルを発見した本人が、その力を完全に解明せずにいなくなったため、スキルの力を開化させる方法の解明が滞っているという訳だ。
噂では、後数百年もすれば誰もが使える力になるとの事らしいのだが、そうなるとこの時代を生きる人達のほとんどが使えない事になる。
そんな力を、このタトゥーギャングは持っているというのだ。
「嘘……どうしてですの!? どうして私の魔法が発動しませんの!?」
「だからスキルだって、お前らの常識であるところの魔法は通じねえんだよ。このマジックキャンセラーにはな」
スキルの力を手に入れた生徒は国から様々な援助を受けられたり……天才ともてはやされるのが普通なのだが、あまりにも大きすぎる力のせいで調子にのって道を踏み外す者も少なくないらしい。
まさかこんな所で道を踏み外したスキル持ちに出会えるとは、ラッキーなのだかアンラッキーなのだかわからないねこれ。
「マジックキャンセラー? 一体なんですのそれは!?」
「言葉の通りだよ。本当に馬鹿だなあんた? 俺の半径1km圏内で詠唱された魔法の理を全部無効化させるんだよ」
「魔法の理をですって? そんな事出来る訳が……!」
「出来るんだよスキルだったらな! そんな意味不明な事が出来ちゃうんだよ! 魔法は魔力に刻まれた理と方式と流れが一致してねえと発動しねえ、俺はそれを乱す事が出来る」
すげえ……何それチートじゃん。
魔法に頼り切ったこの世界ではまさに最強クラスのスキルといえるだろう。スキルどんなのがあるか全然知らないけど。
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