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「しかし、スキルか……しかも魔法無効化って……凄いな、父さんより凄いんじゃないかな」
つまりの所、自分で魔法を作れる僕の利点を完全に潰された状態という訳だ。
……ん? でも待てよ? 魔法が無効化されるだけで魔力の塊を撃つのは出来るんじゃないだろうか?
確かこう……気を放つ時に近い要領で、魔力を全身から腕に集中させて……ほい。
「…………な、なんだなんだぁぁあああ!?」
「おい! 何がどうなってやがる!? お前らちゃんと周囲に誰もいない事確認してんだろな?」
「してたって! ていうかリーダーのスキルが発動してるから魔法なんて発動出来ないだろ!」
「じゃ、じゃあ今の何だよ!? 戦車か何かか!?」
魔力の塊を放出してみると、予想外の事態が発生した。
僕は今、タトゥーギャングが住処にしている廃棄ビルの向かい側の建物に身を隠していたのだが……吹っ飛んだ。
意味がわからないのでもっとわかりやすく説明すると、僕から放たれた魔力が思っていた異常に巨大で高威力だったようで。
レーザー砲のようなのが僕の腕からやや斜めに空へと向かって飛んでいったのである。
「お……おい、あそこに誰かいるぞ?」
「あいつがやったのか? いや……ありえねえか、見たところガキっぽいし」
レーザーはビルを吹っ飛ばした……というより削り取った感じで、まだ一応崩れずに残ってはいるが、僕の姿がもろばれになってしまった。
「おい、あの制服……こいつらと同じじゃねえか、何だよ……まだ仲間がいたのかよ」
「おいお前、こっち来いや。今一体何をしたんだてめえ?」
まずい事になった。見つからない内に逃げだしておけば、誰にも恨まれる事は無かっただろう。
だが……、
「あ、あなたは先程の……! な、何をしていますの! 早くお逃げなさい!」
ユキちゃんに見つかってしまったのなら話は別だ。
ユキちゃんは間違いなくこれからこのタトゥーギャングに大変酷い目にあわされるだろう。(ほうっておけば)
となれば、助けずに逃げ出したという情報がユキちゃん発信で学校中に広まってしまう可能性がある訳だ。
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