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「っぐぁ!?」
次の瞬間、僕の首に激痛が走った。
背後から突然首根っこを掴まれ、強い力で締め付けられたからだ。
「っく……ぁ……がぁ!?」
その時、首を絞められ、苦しみ足掻く僕を覗きこむかのように、タトゥーギャングのリーダーが、不適な笑みをこぼしながら顔を見せた。
そんな……馬鹿な、どうして無事なんだ? どうして無傷なんだ?
「苦しいか? はは! 変に手を出して来たりするからだぜ? お前が今相手してんのは……この街でも特に危険って呼ばれてる集団だ。ガキが相手していい存在じゃねぇんだよ……」
苦しい……息が続かない。
「俺を倒したとでも思ったか? ほら……見てみろよ。お前が倒したと思った存在をもう一度」
そう言われ、僕はさっきまでタトゥーギャングのリーダーと思っていた存在を見る。
だが……ちゃんとそこには僕の魔力にやられたタトゥーギャングのリーダーが存在した。
「一体……どうして?」
「お前馬鹿だろ? さっき俺のスキルが発動している状況下で、あそこのビルを破壊しただろ? お前がやったのかどうかわかんなかったけどよ……」
タトゥーギャングのリーダーはそう言って指をパチンとはじくと、僕がさっきまでタトゥーギャングのリーダーと思っていた存在は、まるで泥のようにぐずぐずに溶け始め、形を失い跡形もなく消え去った。
そうか……やられた。魔法で分身を作っていたのか。
「ビルが何らかの力で崩壊したという事実は間違いねえんだ。お前がやったかどうかは半身半疑だったけどな……もしお前だったら俺がやばい事になる。じゃあこれくらいの保険をかけとくのは普通だろ?」
そう言いながらも、タトゥーギャングのリーダーの締め付ける力はどんどん強くなっていく。
……予想外だ。
元々ぼこぼこにされるのを前提にはしていたけど、僕が力を使ってこんな事になるなんて思いもしなかった。
こいつ……強い。
それも普通にだ。
ただただ直感的に戦っていて、その行動が理にかなっている。
どうやらただスキルが使えるからリーダーをやっているという訳ではないようだ。
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