第一章 ダブルフェイス

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「っぐぁ!?」  次の瞬間、僕の首に激痛が走った。  背後から突然首根っこを掴まれ、強い力で締め付けられたからだ。 「っく……ぁ……がぁ!?」  その時、首を絞められ、苦しみ足掻く僕を覗きこむかのように、タトゥーギャングのリーダーが、不適な笑みをこぼしながら顔を見せた。  そんな……馬鹿な、どうして無事なんだ? どうして無傷なんだ? 「苦しいか? はは! 変に手を出して来たりするからだぜ? お前が今相手してんのは……この街でも特に危険って呼ばれてる集団だ。ガキが相手していい存在じゃねぇんだよ……」  苦しい……息が続かない。 「俺を倒したとでも思ったか? ほら……見てみろよ。お前が倒したと思った存在をもう一度」  そう言われ、僕はさっきまでタトゥーギャングのリーダーと思っていた存在を見る。  だが……ちゃんとそこには僕の魔力にやられたタトゥーギャングのリーダーが存在した。 「一体……どうして?」 「お前馬鹿だろ? さっき俺のスキルが発動している状況下で、あそこのビルを破壊しただろ? お前がやったのかどうかわかんなかったけどよ……」  タトゥーギャングのリーダーはそう言って指をパチンとはじくと、僕がさっきまでタトゥーギャングのリーダーと思っていた存在は、まるで泥のようにぐずぐずに溶け始め、形を失い跡形もなく消え去った。  そうか……やられた。魔法で分身を作っていたのか。 「ビルが何らかの力で崩壊したという事実は間違いねえんだ。お前がやったかどうかは半身半疑だったけどな……もしお前だったら俺がやばい事になる。じゃあこれくらいの保険をかけとくのは普通だろ?」  そう言いながらも、タトゥーギャングのリーダーの締め付ける力はどんどん強くなっていく。  ……予想外だ。  元々ぼこぼこにされるのを前提にはしていたけど、僕が力を使ってこんな事になるなんて思いもしなかった。  こいつ……強い。  それも普通にだ。  ただただ直感的に戦っていて、その行動が理にかなっている。  どうやらただスキルが使えるからリーダーをやっているという訳ではないようだ。
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