第一章 ダブルフェイス

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「本校への入学、おめでとうございます。我が春華魔法高等学校は、皆さんのような若く、力のある方達を歓迎致します」  そんな言葉が、三十代後半にも関わらず十代にしか見えない理事長から放たれる。  初春の四月、僕は、小さな頃からずっと憧れてやまなかった、高等学校への入学を果たした。  ぶっちゃけ高校生になれるのならどこでも良かったのだが、従妹がこの学校に通うという事で、ほぼ親の都合で強制的に僕もこの学校へと進学させられた。  つまりは高校生に憧れている訳だが、何故だかわかるだろうか?  ではここで問題だ。  君が大好きな学園物の漫画やアニメ、もしくは小説や映画等の登場人物で……尤も多く主人公にされている年代は、小学生? 中学生? 高校生? 大学生?  人によって答えは様々なのだろうが、少なくとも僕が知っている中で高校生が一番良く主人公として登場している。  そしてそんな主人公達の多くが、嬉し恥ずかしきゃっきゃうふふな日常やラブコメ展開、突然不思議な力を得て超絶美人なヒロインを助けちゃったりしてる訳だ。  憧れません? そんな展開に?  二次元の世界を夢見る少年なら必ず一度は思うはずだ。  あー……明日いきなりとんでもない化け物が出て来て、いきなり自分に不思議な力が身についてバシンバシン倒せたらー……とかさ!?  そう、つまり僕はヒーローになりたいのだ。誰もが羨むヒーローに。  かつてこの世界を救って、全世界の人からキャーキャー言われて、今じゃたまにテレビ出演したり、軍の特別中将になってるけど本業は喫茶店の店長をしている……英雄ゼクセル=ミフィールみたいに!  この入学式の挨拶が終わったら、教室に戻って自己紹介をして……そんな展開が起きるかもしれない花の高校生活がいよいよスタートする。  楽しみだなぁ……楽しみだ! 「おい……見ろよ。あの水色の髪の奴、あれ同じ中学校にいたアキトじゃねえか? 存在感薄すぎて分からなかったわ」 「お、本当じゃん。あの勉強ばっかでスポーツも魔法も全然駄目なオタク野郎だろ? あいつ成績だけはいいのにこの学校に来てたんだな」  そして教室に戻った瞬間、中学校の頃のクラスメイトが高校でもクラスメイトという事実が発覚し……僕の花の高校生活は最悪のスタートを切る事になる。
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