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幾ら待っても睡魔は原田の所へは来てくれなかった。
明日は昼から巡察。
しかしその前に平隊士に稽古をつけてやる事になっている。
無理やり眼を瞑るが、ビュウビュウと唸る風と、天井を突き破りそうな雨が原田を眠りから遠ざける。
「仕方ねぇか…」
こうなったらとことん部屋で呑んだくれてやる、と開き直った原田は台所へと向かおうと部屋を出た。
しかし…
途中、ソウの部屋の前を通り過ぎようとした刹那…
原田はピタリとその足を止めた。
「…泣き声か?」
雨と風に掻き消され様としてはいるが…微かにソウの部屋の中から押し殺した声が聞こえてきたのだ。
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