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コッソリと障子の隙間から中を覗き込む。
悪趣味だが、中の様子が気になってしまったのだから仕方がない、と自分に言い聞かせる原田の目に映ったのは…
紛れも無く、泣いている刻のソウの後ろ姿だった。
原田は恐る恐る障子を開け、そして部屋へと足を一歩踏み入れた。
途端、ソウの背中がビクリと跳ねて、静かに振り返った。
「はらだ…さん。」
まだ瞳に涙が溜まったままのソウが小さく原田の名前を呼ぶ。
「如何した?この悪天候で怖くなったのか?」
しゃがんでソウと視線を合わせると、原田はクシャ、っとソウの前髪をかき上げてやった。
ソウはそんな原田の笑顔に我慢していた気持ちを爆発させた。
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