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燃えるような夕日が沈み、代わりに現れたのは大きな月。
その仄かな光が、高層ビルの屋上にいるキズナとツキを優しく照らす。
「では、お前は天に還ることを選択するのだな?」
深く低い声の問いに、キズナが頷いた。
「……どうやら、お前を天に送り届けたい者がいるらしい」
死神がそう言い、静かに目を閉じた。そして、再び目を開けると……
「ツキが行く!」
いつもの甲高い声が聞こえた。
「死神サマがツキの体使っても、ツキの意識は残ってる。だから、死神サマとキズナの話、全部聞いてた」
「……そうだったの? 黙っててごめんね。紘乃のことも」
申し訳なさそうに謝るキズナに向かって、ツキは尻尾を振りながら力強い声を上げる。
「キズナが心配かけたくないって思ってたの、ツキ知ってる!キズナをサポートしてきたのはツキだよ?キズナの性格、誰よりもわかってるんだから!」
「ありがとう」
キズナは微笑みながら涙を流し、頬を濡らした。
「でも、私が天に還った後……ツキはどうなるの?」
キズナがふと疑問に思い、問いを投げかける。
「ツキは仕分け人のパートナー!キズナが天に還ったら、新しい仕分け人につく。それがツキの役目!」
ツキは誇らしげにそう言うと、キズナの肩に乗り、キズナの頬に自分の顔を押し当てた。
「ねぇ、キズナ。ツキ……キズナのこと絶対忘れないよ」
ツキが小さな瞳から小粒の涙をぽたぽた落としながら呟く。
「ありがとう、ツキ。大好きだよ」
ツキを抱き寄せ、涙を流しながらキズナが言った。
しばらく涙を流した後、ツキは急に飛び立ち、元気に声を張り上げる。
「ツキに任せて!ツキが最後までキズナを見送る!」
キズナはにこっと笑いながら頷くと、今まで誘ってきた霊達と同じように小さな光に変化してゆく。
その光がツキと共に飛び立ったのを、ビルの影に隠れていたソウマが微笑みながら見送っていた。
「じゃあな、キズナ」
そう呟くと、ソウマはソラと共に夜の闇に消えていった。
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