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ドロンは全高8m程の人型。アデロン種という土を炉(ろ)で溶かして出来るアデロン鋼で作られた機械(らしい)
右の肩に鉄製の柵があり、マウはその中へ、ヒョイとトッテ・ビーを抱き入れた。
艶消し茶色のドロン、3066の背中には、折りたたまれた翼。
「おい3066。寝起きのところを悪いが、あの連絡船目掛けてひとっ飛びしてくれ。キャベツをな、キャンプの皆に食べさせてやりたいんだ」
《バゥ》
ドロンの目はオレンジ色に光る。
おそらくは承諾の光。
「ひゃっは! マウ、あの乾電池はやっぱり逸品だったよ。燃料ゲージは100%だ。これなら月にだって行けちゃうかも」
《バゥ》
はしゃぐトッテに顔を向けて、3066は瞳を赤くした。
《訳: 馬鹿を言うな。乾電池なんかで月になんて行けるものか(おそらく)》
そして砂塵が上がる。
ドロンの両足の下にある火炎の噴出口から、大量のガスが吐き出されたためだ。
「トッテ、しっかりと手摺(てすり)に掴まって」
ずんずんと回転しながら上昇を始めるドロン。
風防眼鏡を掛けたマウ・ポーは天を仰いだ。
連絡船の火薬雲のしっぽは、まだまだ捕まえる事の出来る距離である。
「3066! 最大限の加速を!」
ガシャガシャと翼を開いたドロンの目が、今度は青く輝いた。
《訳: 少年、振り落とされるんじゃねぇぞ(おろらく)》
3066、最大限の加速!
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