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マウ・ポーもトッテ・ビーも、3066の激しい加速に必死である。
風圧に仰け反り、鼻水が飛び出しそう。
──《おい、お前等! 邪魔すんじゃないよ!》
「ん? 何か言ったかトッテ?」
風圧にぐしゃぐしゃな表情で、隣で必死に手摺に捕まるトッテに、顔を寄せるマウ。
「何で僕がマウの邪魔をするのさ? アデール砂漠で、マウに対する1番の協力者だよ!」
艶消し茶色のドロンだが、真昼の日の光は、それでもキラキラと翼で弾かれる。
「トッテ。連絡船との距離を測れ!」
「7055!」
風圧に耐えながら、トッテ・ビーは木製の三角定規を目に当てた。ゼンマイ時計の時間をチラと確認して、算盤を弾いて再び三角定規を使う。
「6088」
そしてまた算盤。
「この調子なら、5分もかからないで連絡船に追い付くよ。マウ、今からこう‥‥キャベツの海で泳ぐ自分の姿が目に浮かぶよ!」
トッテの口の端から、じわじわとヨダレが湧き上がる。
『お前等、本当に馬鹿だろう! 乾電池の残量計を見てみな!』
「はい?」
マウ・ポーは、トッテ・ビーのヨダレが飛んで行った後ろを振り返った。
右肩に女の子を乗せた赤茶色のドロンが、3066のすぐ後ろにいる。
トッテは直様、乾電池の残量計を見た。
電池の残りは20%を切っているから、赤いランプが、点滅している。
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