キャベツとモルモッティアとステナ・ファオ

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「何でだよ! 満タンの乾電池なら、ドロンはフルスロットルで15分は活動出来るはず!」 「電池は満タンだったよ! 何かの間違いだよ!」 連絡船との距離は近付いている。 3066は既に、連絡船へと続く真っ白い火薬雲の中。 「だからアデールの砂掘り共は駄目なのさ!」 いつの間にか、赤茶色のドロンが3066に並んでいる。 赤茶色のドロンの右肩に居るのは、日焼けした肌にタンクトップ、短パンの金髪の女の子。 年の頃は、マウと変わらない。 「そのドロンは3060以降の新型だろう? 乾電池も相応の新型でなくちゃならない。おまけに、この空は既にメシャサの上空。縄張り荒らしの上、我らの高射砲の弾道を阻害している!」 「はい?」 風を切る音もうるさいし、女の子が難しい言葉を立て続けに喋るから、マウ・ポーは不機嫌この上なく、眉毛と目と口を、鼻を中心にぎゅーっと集めた。 「だから獲物は山分けだよ」 赤茶色のドロンが左手に進路を変え、3066と肩をぶつけた。 「使い残しの分は、返してもらうからね」 そう言ってタンクトップの女の子が投げたのは、銀色の乾電池である。 それをガシッと受け止めたマウ・ポー。 翼を翻して、火薬雲から離れる、赤茶色のドロン。
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