9人が本棚に入れています
本棚に追加
……うぅ、きっと何か楽しい夢を見ていたはずなのに。
いや、さっぱり覚えてないけど、でも、きっときっと楽しい夢だった。だって、今のワタシはこんなにも残念な気持ちだもの。
ジリリリ、朝からテンション高い目覚ましがうるさくして、不本意ながら思わず起きちゃった。もしかしたらの現実に引き戻される。
「……はあ、起きたってステキなことは何もないのに」
ため息と共に目覚ましを叩く。キャンディで出来た歯車とふざけたバネとカラフルなリボンがやたらと盛大に弾けて床に飛び散った。
隕石の長針とチョコレートの短針が部屋の壁に突き刺さって、うるさい音は鳴らなくなった。クレーターとザッハトルテは出来ちゃったけど、それでも、6は澄まし顔だし、5と3は知らんぷり。
むくりと起きて再確認、再認識、再吐息。太陽を全然遮ってくれないカーテンで隔絶しただけの、ワタシ独りの些細な世界。
安心して眠っていたワタシの世界を振り切るように思いっきり開け放つ。 何もない、眩しい朝。鮮やかなピンク色の瞳はまだ寝ぼけたまま。
本日ハ晴天ナリ。空の色はブルーとプラチナのチェック柄。でも、きっと、降水確率は誰かの恋の行方次第。
グシャグシャでボサボサな寝癖だらけのオレンジ色の髪をワシャワシャと掻く。頭から2、3本くらいネジとかバネとかがピコピコ飛んでいく。眠たい意識はまだまだ覚醒しそうにない。
油断してると、ぷかぷか浮かぶ意識と身体。やべ、また寝そうになっちゃった。
空を見上げれば、『AM 7:40』のアナログ表示。うん、余裕で遅刻。
最初のコメントを投稿しよう!