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颯爽と部屋に戻る足取りは確かです。隣には足取り軽やかなシマウマもいるからね。だけど、シャイニーゴールドとショッキングピンクのカラーリングははしゃぎすぎだと思うのです。
真っ白いセーラー服に紺色のフリフリミニスカートで白黒しましまニーハイソックス。ついでに赤い縁の伊達メガネを掛けちゃえば、これが今のところ、ワタシの最強装備です。
「あら、ソミナ、頭に刺さってるアンテナ、とってもカワイイわね!」
「およ? こんなの付けた覚えはないけど、カワイイなら、ま、いっか。あ、そーいえば、パパはー?」
「ああ、ソミナよりも早起きさんのパパは今日はねー、月で大事な会議があるからって、東西線で一本早いロケットに乗るんだって」
「うわわ、大人って大変ね。ワタシは、遅刻してまで夢の世界を楽しんでいたのに。大人になったら、そんな時間もなくなるなんて」
あっかんべーする大きなリュックさんには、ありったけのチョコチップクッキーとトランスファーとアルパカを詰め込んで。
「あらあらー? ソミナったらイジワルさんねー? ホントの大人はー、夢も現実も楽しめるものなのよー?」
「ふーん、でも、大人ってやっぱり大変。こんなつまらない世界を楽しむなんて」
「うふふ、ソミナもいつかは大人になれたらステキなことね。さてさてー、ほい、飛びっきりカワイイ食パンだよー、ソミナー」
「……ママ、それ、装飾過多。ほとんどケーキじゃん」
「あらあらー? そうかしらー?」
「それは、帰ってきてから食べることにするよ。それじゃあ、行ってきまーす」
「うふふ、はいはーい、行ってらっしゃーい」
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