朝は短し走れよ乙女

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 ホイップクリームまみれのママののんびりした声を背中に、ワタシは左側に天使、右側に悪魔のツバサを持ったゴッツいスニーカーを履く。ぴょこんと小さく跳んでみれば、靴底からローリングスターとかハートが撒き散らされる。 「あ、ソミナー、お弁当はー?」 「おー、あとでメールで送るか、ワタシ宛のワームホールに入れといてー」 「うふふ、了解ー! 今度こそ爆発させないように頑張るわ!」  そして、ワタシはママの言葉に一抹の不安を抱えながら思いっきりドアを蹴破る。粉砕されたドアは音速の壁を越えて空の彼方に飛んでいった。もしかして、流れ星ってこうやって出来るのかも?  カチカチと寸分の狂いもなく廻る太陽、いつだって満面の笑顔だけは絶やさずに。月とはまだ仲直りしないの?  ノイズみたいに目の前に走るエフェクト。『……now loading,now loading,now loading……』  ハートビートは軽やかにテクノポップを刻む。心臓を揺らすピコピコ電子音が心地良い。  ダブステの噛み合わなさに思考が痺れる。脳内麻薬はきっと甘ったるいハチミツの味。  パッチリ開けた二重のピンク色の瞳は、キラキラ輝くビームで向こう隣の家を爆破する。このメガネ、マジぱないっす!!
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