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「いい?この時世、うちらJKに声を掛けただけでも事案ものだよ?」
腰に手を当て、諭すようにいう日向。それは流石に世の中、不憫過ぎないかしら
「過ぎない!現にそのオッサンは完全不審者の変態だっつーの!」
「悪い人には見えなかったけど……」
あと、結構若かったと思う
「見た目に騙されちゃ駄目!」
「そうだよ。ひなちゃんもこんな性格だけど、髪とか肌の手入れしてるんだよ」
普段はガサツな日向が、女の子してる驚愕の事実!
成る程。人は見かけじゃ理解らないわね
「妙な所で納得すんなよ!とにかく何でOKしちゃうかな」
うーんと、改めて考えてみる
「ストーカーってつまり、つけ回して遠くから見ていたいってだけでしょう?特に害が無いならいいかなって」
誠実そうな人で、あと、やっぱり悪い人ではなさそうだと感じた。と自分の考えを告げる
「どうよこの危機感のなさ」
「これは、困ったねぇ……」
2人してどうしたものかと、考え込んでしまった。
「男の危なさから説明するか?」
「ストーカーの事例を挙げるのも手だと思うよ」
2人は、ああでもない、こうでもないと議論していたので、私は残りのお弁当を片付けてしまう事にしよう。
~♪
私の携帯に着信が入る。メールみたいだ
「あ。〝かーさん〟からだ」
表示された名前を見ると、〝かーさん〟の文字。何だろう……
「……ふふ」
「携帯見て笑うなよ。怪しい奴みたいだぞ」
思わず笑ってしまった私を不審な瞳で見つめる2人
「しょうがないじゃない。〝かーさん〟からのメールが面白かったんだから」
「〝かーさん〟って親御さんだろ?そんな面白い事書いてあったん?」
「う~ん。でも真那ちゃん、笑い所おかしいとこあるから……」
失礼な事を言いながら、どれどれと携帯を覗き込む2人。隠す物でもないけど、携帯覗くのも失礼な行いじゃないかしら
「「……………え?」」
覗いた2人が間抜けな顔して固まっていた。今日はよく固まる日だ。携帯を机に置いて、窓から外を見渡す
あ。いた
学校の前に立っている木の木陰に半身を隠した〝かーさん〟が此方を眺めているのが見えた。小さく手を振ってみると、体全体で振り返してくれた
本当、面白い人だ
「……なぁ。確認していいか?」
直ぐ隣に来て同じく外を眺めながら聞いてくる
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