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「だったら、もう一つプレゼントしてやるよ」 リョウは、店のカウンターの中に入って行く。奥にある厨房横の狭い空間、仕切られた向こうに行き、ギターを片手に持ち戻ってきた。 「え!?リョウ?マジ!?」 ケンの声は驚き上擦っている。それを、視線一つでリョウは交わすとスツールに座り直した。 組まれた長い足の上にギターを置き、ポロンと音を鳴らす。 他にいた客もその音で一斉にリョウに釘付けになって見つめていた。 コースターの上に置かれたアルコールを一気に飲み干し、一度だけ咳ばらいをする。 瑞穂は、一気飲みの男っぷり、喉仏の動き、咳ばらいのあとにみせた髪を掻き上げるしぐさに既に酔い心地にあった。 すーっと息を吸い込んだあと、弾かれたギターの音色にリョウのバリトンボイス。 調和した二つの音は、Barを異空間に変える。 たかがバースデーソング。されどそれが特別な歌に聞こえるくらい、鳥肌が立つ。
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