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酔っ払いの鈍った頭で懸命に整理したケンの話は、リョウは酔い潰れたわけじゃなく、寝不足ということ。そして、私の家ではなく、ここから家が近いからそこに泊まればと提案されたこと。
瑞穂は、確かにこんな時間に家に帰るのは億劫ではあったが、初対面それもほとんど話すらしていない人、まして男性の一人暮らしだろう家に泊まっていいわけがないと断ろうとしていた。
だが、ケンも馬鹿じゃない。そんなこと百も承知で言葉を続けた。
「もしかして、貞操の危機とか思ってる?だとしたら、大丈夫。一旦寝入るとなかなか起きない。瑞穂ちゃんが朝出ていっても起きないと思うよ」
「…………」
完全に閉口した瑞穂は、ケンの意図をはかろうと瞬きを数回繰り返し見つめたもののよく理解出来なかった。
「まあ、瑞穂ちゃんが襲いたかったら襲っても大丈夫。リョウの部屋、防音になっているからやりたい放題」
ニヤッと口角をあげたケンに、もう何を言っても通用しないだろうと瑞穂は仕方がなくリョウを送り泊まることを了承した。
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