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このまま帰ろうと身支度を整えカウンターに戻るといつもと違うことに驚愕する。 壁に映し出されていた淡いブルーの幾何学的な模様の間接照明は、ピンクのハートやクローバーなどに、流れていたジャズはポップスのインストルメンタルのようなものに。 ガラリと変わった店内を見渡し、置き去りにした文庫本を取りに戻ると、新しいカクテルが置いてあった。 「ケンさん!これ、私の?そろそろ帰ろうと思っていたのだけれど」 瑞穂は、ケンに、いつもなら終電間近なこの時間に出さないはずなのにと不思議に思いながら、問い掛けた。 「うん。でも、これだけは飲んでいって。俺から瑞穂ちゃんへのプレゼント」 「プレゼント?ケンさんから?」 「明日、誕生日でしょ?」 「どうしてそれを?……あッ!」 瑞穂は言いながらも、二度目に来た時の会話を思い出した。
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