第1章の続き

10/40
前へ
/40ページ
次へ
 しかし日本の社会で暮らし、日本人を利用しているくせに、洪も母も影では執拗なまでに日本人を敵視する。  その考え方がわたしは嫌いだ。  わたしは日本人の血を半分引いている。  日本人の国民性も、この平和で豊かな国自体にも満足している。  中学生になったころからか、母と度々衝突するようになった。  原因はいつも日本という国に対する考え方の違いだった。  自己主張するようになったわたしに対し、母は怒りを露わにした。  歩み寄りの無い言い合いの末、母はその立場を利用してわたしを押さえつけようとした。  それが繰り返される度に、母と一緒に暮らすことへの嫌気が増していった。  母と洪と共に同居していた青山の高層マンションに、洪の粗暴な手下達が頻繁に出入りすることも嫌だった。  わたしが一人暮らしを望んだ理由はその2つだった。  蓮の左手がわたしの胸を揉みしだき、右手が股間に伸びた。  2年前、わたしがまだ中学生の時に、渋谷のセンター街で蓮と出会った。  わたしが15、蓮が16歳だった。  蓮はチームのリーダーで、大勢の不良達を率いていた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加