第1章の続き

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 ◇  昨夜のうちに片桐から呼び出しが来ていた。  仕事を終え、一旦マンションに戻り、タイトスカートにブラウスを着て、薄手のジャケットを羽織った。  片桐に対して着飾る必要性は感じないのだが、流石にジーンズにポロシャツ姿でホテルへ入るのは気が咎める。  西新宿5丁目から、新宿に向かって1駅の都庁前で地下鉄を降りた。  西日に照らされ、都庁全身の影が、目指す京王プラザホテルにクッキリと浮かび上がっていた。  片桐は、最初から毎回変わらずにこのホテルを指定してくる。  最初のうちはレストランで食事をしてから事に及ぶという一手間を掛けられていたものの、次第に省略されるようになり、4回目となった前回からは部屋自体が待ち合わせ場所となっていた。  もっとも、片桐と2人の食事など、何を食べても美味いはずがなく、こっちもその方が有り難かった。
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