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部屋を出ると2階でエレベーターを降ろされ、半ば強引に食事に付き合わされた。
中華料理店の個室だった。
食事代が浮いたのだからと自分に言い聞かせて箸を進める私に、片桐が言った。
「お前の部屋に誰か居るか?」
市井の訪問に気づいたのだろうか。
言いよどむ私に片桐が言い直した。
「お前の留守に、出入りする奴は居るのか?」
そういう意味か。
「いえ、居ません」
「よしそれならいい。預かってもらいたい物がある」
良からぬ予感が当たった。
「何を預かるのですか?」
「アタッシュケース1つだ。車に載せてある。この後部屋まで送ってやるから心配いらない」
「あの……中身は」
「そんなことは知らなくていい」
そう言って片桐が片頬を動かした。
わざわざ私に預けるとなると、どうせろくな物ではないのだろう。
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