第1章の続き

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 部屋を出ると2階でエレベーターを降ろされ、半ば強引に食事に付き合わされた。  中華料理店の個室だった。  食事代が浮いたのだからと自分に言い聞かせて箸を進める私に、片桐が言った。  「お前の部屋に誰か居るか?」  市井の訪問に気づいたのだろうか。  言いよどむ私に片桐が言い直した。  「お前の留守に、出入りする奴は居るのか?」  そういう意味か。  「いえ、居ません」  「よしそれならいい。預かってもらいたい物がある」  良からぬ予感が当たった。  「何を預かるのですか?」  「アタッシュケース1つだ。車に載せてある。この後部屋まで送ってやるから心配いらない」  「あの……中身は」  「そんなことは知らなくていい」  そう言って片桐が片頬を動かした。  わざわざ私に預けるとなると、どうせろくな物ではないのだろう。
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