第1章の続き

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 「違法な物は嫌です」  私はキッパリと言った。  片桐の顔色が変わった。  「ほう。借金を売春で返すのは違法じゃねぇのか」  売春?  違う、愛人契約だ、と言い返したかった。  が、私がそのアタッシュケースを預かることは、既に片桐の中で決定していることなのだろう。  何を言っても無駄なのだと悟り諦めた。  地下の駐車場に止まっていた片桐の車は、予想に反して黒い大きなRV車だった。  ベンツなどのセダンを想像していたのだが、今時のヤクザはこうなのだろうか。  位置の高いシートによじ登るようにして座った。  信号待ちで片桐が口を開いた。  「聞いていた通りの女だ」  聞いていた?  「顔は和風美人。体は小柄で華奢。性格は実直。真っ直ぐ過ぎるところと貧乳なのがたまにきずってな」  褒めてるのかけなしてるのか。
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