第1章の続き

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 集金は、夜暗くなり、各家の明かりが目立つようになるとはかどる。  外から一目で在宅かどうかが分かるので、無駄足を踏むことが減るからだ。  しかし8時を過ぎて一般家庭を訪問すると、あからさまに嫌な顔をされる為、その僅かな時間が勝負となる。  大人が8時に寝るはずもないのだが、主婦は風呂へ入り化粧を落とし、部屋着になってから玄関を開けるのが嫌なのだろう。  遅い時間でも構わない家庭や、独身者宅へは8時以降に回るが、それも通常は10時が限度だ。  残ったなかなか会えない客は、曜日によっては早く帰宅することもあるので、常に巡回して監視が必要になる。  また、自宅には寝に帰ってくるだけといった客もおり、そういった客は部屋に明かりを見つけてこちらが急襲しても、風呂に入っていたりする。  そしてしばらく時間を空けて戻ると既に明かりを消して就寝している、などといったこともあるので、一筋縄では行かぬものなのだ。
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