第1章の続き

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 通常、集金バッグの中には、立て替えている件数分の領収書が残り、坂井などの不良専業は、その逆に客からの集金は済んでいるが、使い込んでしまい入金出来ない左の控えが残っているという訳だ。  立て替えて、客が黙って引っ越してしまった場合、当然販売所では一切関知してくれない為、立て替えはリスクを伴うことになる。  それに立て替えるべき軒数が余りに多いと、達成することによって得る手当よりも金額が高くなってしまう。  こうした理由から、手当などいらないからと、取れない集金をそのまま放っておく専業も中にはいる。  業を煮やした販売所は、仕方なく数日遅れの給料を支払うが、それで事が済む訳ではない。  翌月分の集金には、前月分の残りがしっかりとプラスされる。  自ずと90%、95%の段階で、前月の残りがそれを圧迫してくる仕組みだ。
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