第1章の続き

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 余りの呆気なさに、不良品ではないかと疑い、もう1本を試した。  結果は同じだった。  赤ちゃんがこのお腹の中にいる。  確か10ヶ月で生まれるはずだ。  生まれるのは来年の春頃だろう。  お腹が大きくなれば、学校へは通えないかも知れない。  それならそれでも良い。  愛する蓮との間に出来た赤ちゃん――。  それよりも大事なものなどあるはずがない。  蓮は喜んでくれるだろうか――。  堕ろせとは言わない。  何故かそれだけは確信が有った。  ママは何と言うか――。  きっと、学校やわたしの体よりも、店に出られなくなることを心配するに違いない。  お酒は辞めよう。  セックスも駄目に決っている。  蓮は我慢できるだろうか。  それが一番心配だ。  明日学校が終わったら病院へ行こう。  いや、休んで行こう。  善は急げだ。
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