第1章の続き

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 翌朝、学校に欠席の電話を入れ、新大久保の産婦人科へ向かった。  堕胎ではなく、出産希望だと告げると受付の事務員が目を剥いた。  完全予約制なのだと言われ、飛び込みのわたしは大分待たされることになった。  退屈なはずの待ち時間は、今まで手に取ろうとしたことさえなかったマタニティー雑誌が、有意義な時間に変えてくれた。  開いた雑誌から目に飛び込んで来た情報は、全てが新鮮で、新米妊婦のわたしにとって役立つものばかりだった。  途中、自分では妊娠を確信しているのだが、紙コップで尿を提出した。  病院側の確認と納得の為に必要なのだろう。  1時間くらい待っただろうか。  ようやく名前を呼ばれ、内診台という物に乗せられて触診を受けた。  白髪交じりの初老の医師は、おそらく医院長なのだろう。  下半身を丸出しにして両足を開き、見知らぬ男の指が膣内をかき回す――。  普段の生活では、女として到底受け入れられないことだが、何のためらいもなく足を開くことができた。
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