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年月が流れに流れて800年後。
帝宮神社は名改め、時在神社となり、このまちは町長の手によって治められていた。
「おーい!無視しないでくれよー!」
「付いてこないで!」
「いや、だってガッコ同じだし.....」
「うっさいわね!何も一緒に登校しなくていいでしょ?!」
「いや、さ、それよりも例の術式でわかんない.....」
明るい朝日を受けながら地元の高校の制服を身にまとう男女がケンケンと喧嘩している。
そのまわりにはほのぼのしく二匹の美しい黒い蝶と白い蝶がひらひらと飛んでいた。
「てか、アンタまだ反省してないわね?!」
「だから.....あれは、言葉が過ぎたしたってば.....」
「対して強くないウチに聞いても意味ないんじゃなあい?」
「いや、嘘です、昨日言ったことは全部嘘なので許してください」
「嘘でも冗談でも考えてから言いやがれっ!」
この二人の喧嘩の原因は遡ること七時間前の午前0時。
***
場所は地元で一番大きい神社である時在神社。
昼と違うことと言えば、薄気味悪いほど静かで深い闇であることと二人が袴姿ということぐらい。
そのうちの一人――蒼井剣介(あおいけんすけ)は罰当たりなことに神社の御社の屋根に仰向けに寝そべっている。
まだ春になったばかりの時在の地には穏やかな風がそよいでいた。
「今夜は妖魔(ようま)来ないんじゃね?」
と欠伸をかみ殺しながら不貞腐れたように剣介は呟いた。
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