ある発明

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本音を言えば、私は別に行きたいとは思わなかった。 だが、先に言った通りエスの家はこの街の名士だし、下手に断って悪い印象を持たれるのはあまり良いことではない。 エスが指定した日は仕事だったが、予め上司に断りを入れ、その日は早退させてもらうことにした。 気の利かない男だが、考えてみればエスは仕事もせず、ずっと研究を続けている変わり者だから、もはや曜日の感覚など無いのだろう。 毎日、日曜日みたいなものなのだから、当然といえた。 それにしても、エス博士の研究とはいったい何だったのだろう? 私は不安を胸に、その日を迎えた。
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