ある発明

7/20
前へ
/20ページ
次へ
「ところで、君は今夜の夕食をどうするのかな?」 時計を見ると、夕刻6時を少しまわったぐらいだった。 別に、普段なら仕事をしている時間だ。 別にちゃんと断りを入れて早退したし、家族には後で連絡すればいいだろう。 「もし、用意してあるなら、いただこうかな。」 「そう言って貰えると、助かる。 なんと言っても、この食事を食べなければ、僕の研究成果の素晴らしさは理解できないからね。」 いったい、どういうことだろう? 「君の発明というのは、そういうものなのか?」 「そうだよ」 私は内心、呆れていた。 さっきまで人類を救うなど言っていたくせに、エス博士の説明はなんともショボいように感じた。 まあ、大した発明ではあるまい…… 「そういえば、お酒は大丈夫かな?」 「いただけるならいただこう。 最終のバスの時間までには、おいとまさせていただくが……」 「では、少し待っていてくれたまえ」 そう言うと、エス博士は応接間を出て行った。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加