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慌てて、うんしょとかぶり直した。
『あー……僕にも妹がいるから分かるけど、お葬式はつまらない』
男の子はビーチサンダルに視線を落とす。
妹さんはあまり関係ない気がするけど、うん、と頷いた。
男の子はチラリとわたしを見て、また視線を逸らす。
『あの――』
わたしの言葉はそこで切れた。
遊びたい。
お話したい。
友達になって欲しい。
それだけなんだけれど、わたしには彼を誘うようなきっかけがなかった。
『あの? なに?』
男の子は腕を組んで待っている。
『あの! ……えーと!?』
なんだか怒っているみたいで、余計に焦った。
でも、また涙がでそうだった。
クシャ、と手にした紙を潰しそうになる。
(そうだ……)
わたしと彼には糸がある。
ニコリと笑った。
『いっしょに絵を描きに行こう!』
『は?』
はじめて、男の子は表情を変える。
その目を丸くしている顔が面白くて、男の子が実はとても面白い子なんだな、って思った。
ニコニコとビックリの真ん中で。
ひまわりだけが、夏の日差しに揺れていた。
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目が覚める……。
多分……。
後5分くらいで……。
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眩しい。
「……おはようございます」
身体の上で寝ている小鳥に、わたしは挨拶する。
小さく波打つ胸の上で、小鳥は静かに揺れていた。
森の匂い。
風の強い日だ。
さーっ、と木々が枝を打ち鳴らす。
それを合図に、ちちち、と鳥の声がして、たくさんの影が空に散った。
「ねぼすけさん。ほら、おいてかれちゃうぞ……」
指の先でくちばしをつついてやると、その子はびっくりして辺りを見渡し、せわしなく首を傾けると大空に飛んでいった。
「……あはは」
「そうだよ。わたしと一緒になんかいて、仲間とはぐれちゃだめだよ……」
うーん、と背伸びをして深呼吸する。
「今日も良い日だね」
「さて、この物語を終える、長い長い48時間がはじまり、物語の語り手は、わたし――青葉みくへと移ります。それは……本来の語り手である直也くんが、この物語の結末を見ることが出来なかったから……。今、今この文章を書いている手も震えている。ぎこちなくて、汚い字が暗号みたいに並んでいる。
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